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2013年3月30日 (土)

発熱と解熱 - メカニズムと対処法

桜の花が満開の季節となりましたcherryblossom
もう4月になってしまいます!
新入学、新入社と希望に満ちた季節なのでしょうか。

慌ただしかった年度末の仕事を終え、一休みするはずだったのに、もう1件受注したのが手元に残っています (笑)! 次こそは、休もうと思っているのですが....。

私は毎日のように深夜に起きてるせいか、年中風邪を引いています。頭痛とか咳が症状として出ますが、有難いことに発熱はありません。

Twitterで翻訳者の方のTLを見ていると、季節の変わり目に風邪ひきさんは多く、インフルエンザと間違えるくらい発熱された方もいたようです。

で、発熱とは、いったい何度からを発熱というのでしょうか。病院で解熱剤を処方された時にも、「○度になったら」と明確な指示が出ないことも多々あります。
実は、この点に関しては、「発熱の明確な定義はない」ようです。

Child_fever01













発生には、次のようなメカニズムが関係します。


体温を制御するのは脳幹 (brain stem)の一部である視床下部 (hypothalmus)です。この視床下部が現在より高い温度に体温を設定すると、数時間で体温は設定温度になります。

逆に、この視床下部が現在よりも低い温度に体温を設定すると視床下部は皮膚の血管を拡張したり
発汗させたりして熱を放散させて体温を下げるというわけです。


発熱の原因は、感染症だけではなく、中枢神経系、循環器系、呼吸器系、消化器系等、発熱を生じうる非感染性病態は色々あります。

が、細菌やウイルスという病原菌に感染した時の発熱が症例的には多いと思われます。

細菌が体内に侵入した時、炎症に関わる細胞として、急性の場合は、好中球、血小板、肥満細胞があり、慢性の場合は、Tリンパ球、マクロファージ、形質細胞等があります。

これらの物質から、起炎物質 (ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、サイトカイン等) が産出され、それらによって痛みを作る発痛物質や発熱を起こす発熱物質が産出されます。


先ほど脳の視床下部で体温を設定すると書きましたが、プロスタグランジンにはその設定値を上げる作用があるのです。

なので、その働きを抑える薬として、通常は非ステロイド性抗炎症薬 (nonsteroid anti-inflammatory drygs (NSAIDs) が用いられます。

アスピリン (一般名 aspirin)、ボルタレン (diclofenac sodium)、ロキソニン (loxoprofen) 等です。

ここで、問題が起きます。発熱の問題点として、不快感の増大、食欲減少、心筋酸素重油の増大、呼吸需要の増大、中枢神経障害等があります。

一方、抗体産出の活性化、好中球の活性化、リンパ球の活性化、ウイルス・細菌の死滅等、自己防衛に役立つ有効点もあるのです。

従って、解熱剤で熱を下げようとすると、病原菌は増殖し、抗体、好中球、リンパ球、マクロファージ等の活性が落ち、病原菌との戦いで不利な状況が発生します。ただし、患者の脈拍や酸素消費量の低下、不快感の軽減等の効果もあるわけです。

では、解熱しなかったら、どうなるのででしょうか。

前述の「発熱の定義がない」点にも関連して、「発熱と死亡率」の関係に関する研究で、統計学的確率が示されていました。Expert Nurse 3月号にあった記事の中で「37.5℃~39.0℃ (平均38.3℃) の発熱は患者死亡率と有意な関係はない、とあります。が、発熱の定義を39.3℃~39.5℃ (平均39.4℃) とすると、発熱の発生は患者死亡率と有意に関係していました。

米国集中治療学会は、発熱を「38.3℃以上」としていますが、この場合、その定義に明確な理由はないそうです。

解熱療法として、薬物解熱の他に、冷却解熱 (クーリング) といわれる療法があります。体を冷やせば、皮膚の表面温度は下がるかもしれません。が、体を冷やせば血管は収縮して発汗しなくなりますね。視床下部の設定温度は変わっていないので、体は視床下部の設定温度まで皮膚温を上げようとして熱を発生することになってしまいます。熱を発生し続けるとエネルギーを必要とし、逆に体を消耗させてしまいます。

私の家族も、感染症発症の兆候として、発熱があります。この場合、38.5℃くらいで解熱剤を服用するよう指示を受けています。不快感が軽減されるので、本人は発熱すると安易にお薬を飲みたがる傾向にあります。

山口大学で英米文学、京都大学大学院で中国哲学を学び、英語教師をされた後、徳島大学医学部再入学、勤務医時代を経て、現在、広島県尾道市で医院を開設されている今倉 章氏は、「発熱について」の中で、「世間には、熱を下げなければ人間の体に大きなダメージがあるという誤った常識がある。」としています。

社会の常識にそった治療、「社会的治療」として39℃以上でロキソニン1錠、という指示を前もって出されているそうです。また、「クーリングは原則実施せず、本人あるいは家族が強く希望すれば頭のみクーリング」としているそうです。

鎮痛剤と解熱剤は、同じ薬が処方されたりしますね。うーん、私は頭痛でロキソニンを飲むことがあるんですが、体の中で起こっていることを考えれば、原因が風邪だと明白な場合、薬は飲みたくないですね。

最も、日本では薬が誕生するまで、動物を使った試験「前臨床試験」から、実際にヒト、患者に試験する「臨床試験」を経て、厚生労働省で承認をもらって発売となるまで「10年~15年」かかるそうです。ここまでの薬の合格率は7000分の1!

薬の安全性はそれなりに確保されているはずです。ただ、薬を飲むことによって、病気の治癒が遅れるようでは困ります。

発熱管理が、まだまだこれからの研究課題であることに驚きました。
健康も含め、自己管理はとても大事!自分には優しく、人にも優しく.....(笑)scissors!

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コメント

akoronさん こんにちわ^^

私に馴染みのない世界で
馴染みのない言葉が一杯で
とても 興味深く拝見させて頂きました^^

人間の体の構造を考えてから
薬を作る。

完成するまでの、期間と確率。。。
なにか 考えさせられますよね。。。

でも、命に関わる事なので慎重に。。
ってのもわかるけど、
その薬がもちっとだけ早く認可されていれば
助かった命もあるかも。。。。

なにか矛盾に似たもどかしさを感じます。

自己管理
とても大事なんですね^^
(私は自暴自棄ですが・・笑)

太公望さん、お早うございます!お忙しい中、読んでいただい
て有難うございますhappy01

普段の生活の中で、自然治癒力が一番という状況でも、十分な
説明がないまま大量の薬が処方され、患者側も理解しないま
ま服用を続けたり、投薬がないと、医師を非難したりする現状
があるんです。

かと思えば、太公望さんが言われるように、海外に優れた新薬
や治療法が開発されても、日本で承認されるのに、あまりに時間
がかかりすぎている今の制度では、緊急を要する患者さんの生
命が危機に晒されてしまいます。

私が医薬に興味を持ったのも、本当に病気で困っていながら
前向きに頑張っている人、現状の中で、本当に命を助けたいと
孤軍奮闘されている数少ない医療従事者の努力を見てきたか
らかもしれません。

でも、何もできないんですけどね、私の力では (^-^;。どこかで
応援したい、そんな気持ちですheart04

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