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2014年7月27日 (日)

うつ病って?~脳科学の視点~

うつ。

Utsu

うっ、字を見ただけで、憂鬱になりそうです。あ、もしかしてうつ病


もう1週間前になりますが、第11回日本うつ病学会市民公開講座・脳プロ公開シンポジウム in HIROSHIMA「うつ病の期限から未来医療へ」に参加してきました。

メルクマニュアル家庭版によると、うつ病(depression)は、「体の機能に支障を来すほどの強い悲しみを感じている状態」とあります。

Utsu2

このシンポジウムでは、4つの異なる視点から「うつ病」に関する講演がありました。

flag1) 「脳の進化から探るうつ病の起源
(山本 高穂:NHKスペシャル「病の起源」ディレクター)

flag2) 「心のスランプとどう向き合うか
(為末 大:アスリートソサエティ代表理事)

flag3) 「うつ病の現状と脳科学研究の応用
(山脇 成人:広島大学大学院医歯薬保健学研究院教授)

flag4) 「BMIなどの脳科学によるうつ病の治療創成
(川人 光男:(株)国際電気通信基礎技術研究所(ATR)
脳情報通信総合研究所 所長)



1) 「うつ病は脳の病気である」という主張の基に、魚も天敵に長い間直面して強いストレスを受けると「うつ病」になるという例が示されました。食欲も繁殖力も低下するそうです。


脳の中で、うつ病の発症と関連するのは扁桃体(amygdala)という神経細胞の集まり。

Hentotai

ストレス等で扁桃体が過剰に活動すると海馬(hippocampus)が反応し、強い記憶としてとどまります。恐怖・不安・悲しみ等の記憶が繰り返し思い出されるたびに扁桃体が激しく活動して「うつ病」の原因となるようです。

ここで注目したいのは、「平等」という精神です。
アフリカの狩猟採集民「ハッザ」の人々は、「うつ病」と無縁であることが最新の調査で判明しています。なぜかと言えば、彼らの生活には、集めた食料をほぼ100%平等に分け与える「平等」の仕組みがあるからだそうです。


「扁桃体」は「平等」に対して反応しないということですね。現代社会の「格差」や「不平等」が「うつ病」のリスクを高めているということには納得しました。

2) このシンポジウムで、一番聞き入った講演でした。ご自分のノートパソコンを開かれていましたが、スライドは使用せず、PCもほとんど目にすることなく、聴衆と目を合わせながらのスピーチでした。

「うつ病」ではなく、「心のスランプ」と表現されてのお話でした。

モチベーションは揺らぐので、長期的目標より、短期的目標を立てるというお話の他、「嫉妬」について話されました。

某選手に対して感じた「嫉妬」。それを包み隠さず話された為末さんに、とても好感が持てました。その時、「どうやって自分に折り合いをつけるか」について、「他人の人生と自分の人生を分け」、「自分の出来ることにフォーカスし始める」ことが大事ということでした。

「嫉妬」は、「他人への攻撃に向かう可能性もある」というのは、よく分かります。

たとえば、男性の場合だと、自分より優秀で異なる手法を持つ部下への攻撃、女性の場合だと容姿や能力に秀でる者に対する陰湿な攻撃を目撃したことがあります。人を陥れることで自分の優位性を保つ、なんて人間として悲しいことですね。



為末さんは、Will Smithさん出演の映画にあった「Danger is real. Fear is a choice.」という言葉がお好きだそうです。とても自己分析に秀でた「考えるスポーツマン」という印象で、すっかりファンになりました!


3) 1)で「脳の病気」と発言されたのに対して、「心の病」としたのは、お立場の違いでしょう。

とはいえ、喜怒哀楽等の情動の制御メカニズムに関連して、
情動は、脳の深部にある扁桃体等の大脳辺縁系(limbic system)が密接に関与しており、前頭前野(prefrontal areas)を含む神経回路(セロトニン神経、ドーパミン神経等)がコントロールしている」が、「昨今のストレス状況は、この情動制御に関与する神経回路の不調を引き起こし、結果として、うつ病症状を引き起こす」と説明されています。


4) BMIは、ブレイン・マシン・インターフェースの略語です。「失われた機能を代償し、回復を助けることを目的としたコンピュータを含む電気回路」と定義されます。

近年では、コミュニケーションを含む運動機能の代償と治療応用および実用化が進んでいるようです。

この講演では、「精神疾患は、脳内の結合の障害による」ということでした。

また、decoded neurofeedback (DecNef)という手法の開発によって、脳を望ましい状態に導く可能性が出てきたということです。この手法は、「ヒト脳活動の非侵襲計測手法である機能的MRIデータから脳内情報を解読し、それを短い時間遅れで脳に報酬として帰還し、結果として特定の空間的脳活動パターンを誘起する」と説明されています。つまり、望ましい方向に向かった脳活動のゆらぎをデコーダーが検出し、「類似度」をフィードバックして特定の空間的脳活動パターンを誘起するというものです。


薬に頼らない精神・神経疾患の治療法の基礎
となる可能性が出てきたということは、大変喜ばしいことですね。



たとえば、浅田真央さんは「金縛りのような状態になって実力を出せない場面があった」けれども、脳科学の応用によるメンタル・トレーニングが必要であったということでした。

文明によって生じた疾患は、文明によって乗り越える」とは、期待値が高い一方で、人間が機械に支配されるようで嫌にもなります。

せめて、日常生活の中から「心の平等」は取り戻していきたいものです
heart01


Bqt_5b5ciaajcfm 仲良く半分ずつ食べたら、ストレスなしですにゃ~(=^x^=)


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